ネットキャッシング・ブルース 前編

水道の蛇口をひねると、澱みなく水が流れる。これが金に換わったらどんなにいいだろう。金は水と似ている。必要なとき、必要なだけ使うことが重要だ。残念ながら俺には今、蛇口をひねる余力がない。だが、のどが渇いてしょうがない。このまま砂漠に取り残されるのは避けたい。
低金利の業者を調べた。早速、ネットキャッシングを試みる。審査は大丈夫だろうか。俺は一般サラリーマンだが、生活費は足りない。会社はすでに傾いているからだ。もうすぐ「テナント募集」の張り紙がドアにかかるだろう。こっちも景気回復には期待していない。
来月から真夜中のタクシードライバーに転職しよう、と思う。必ず返済する。キャッシングのブレーキはもう踏んでいる。代わりに俺は客を乗せてアクセルを踏む。いらっしゃいませ、どちらまで?お客さん、飲みすぎですよ。ありがとうございました・・・・・・きっと、ネオンの灯がまぶしいだろう。潤いに感じるだろう。いつかの砂漠にも、オアシスが生まれるといい。

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